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島田 太郎; 根本 宏美*; 武田 聖司
保健物理(インターネット), 57(1), p.5 - 29, 2022/03
原子力発電所等の運転や廃止措置に伴って管理区域から発生する資材等のうち、放射能濃度が低く、人の健康への影響がほとんどないものについては、クリアランス制度によりその規制から外れて、再利用または産業廃棄物としての処分が可能である。2020年にクリアランス対象物の種類が撤廃され、金属くず,コンクリートくず等以外にもクリアランスすることが可能となった。原子力施設の解体で発生するアスベスト廃棄物もその一つであるが、廃棄物処理法に基づき、特別管理産業廃棄物として処理・処分されるため、これらの過程での被ばくにより現行のクリアランスレベルを下回るような濃度レベルにならないことを確認する必要がある。そこで、アスベスト廃棄物がクリアランスされた後の処理,溶融後再利用,埋立について被ばくシナリオを構築して、33核種について公衆の被ばく線量を評価し、その結果に基づいてクリアランスの線量基準である10Sv/yに相当する濃度を算出した。その結果、原子力安全委員会が金属くず,コンクリートくずに対して算出した10Sv/y相当濃度に対して1桁以内の値となり、対数丸め値は現行のクリアランスレベルを下回る核種はなかったことから、現行のクリアランスレベルを適用できることが確認された。
前田 敏克; 馬場 恒孝*; 水野 大*; 寺門 正吾; 喜多川 勇; 沼田 正美
廃棄物学会論文誌, 17(4), p.271 - 281, 2006/07
シリコン,カルシウム及びアルミニウムを主成分とするスラグ試料を用いて、セメント平衡水中における静的浸出試験を90Cで行い、スラグの溶解挙動を調べた。セメント平衡水中では溶液のアルカリ性のため、脱イオン水中に比べてスラグの溶解量が増大することがわかった。また、スラグ表面には溶解に伴いケイ酸カルシウム水和物(C-S-H)を成分とする二次相の生成が認められ、C-S-Hが生成する期間中は同じpHのアルカリ溶液中に比べてスラグの溶解が抑制される効果がみられた。
前田 敏克; 馬場 恒孝*; 堀田 克敏*; 水野 大*; 小澤 達也
日本原子力学会和文論文誌, 4(4), p.242 - 247, 2005/12
SiO, CaO及びAlOを主成分とするスラグ試料を用いて、セメント共存下における静的浸出試験を90Cで行い、処分環境として想定されるセメント環境でのスラグの溶解挙動を調べた。その結果、スラグは試験期間をとおして一定の速度で溶解することがわかった。これは、スラグとともに放出された主成分Siがカルシウムシリケート水和物に取り込まれることによって液中Si濃度の低い状態が保たれ、初期における溶解反応速度が継続したためと推察された。
水野 大*; 前田 敏克; 馬場 恒孝*
JAERI-Conf 2005-007, p.225 - 229, 2005/08
スラグのバリア性能を定量的に評価するため、スラグの処分で考えられえる影響因子によってスラグの溶解特性がどのように影響するかを研究している。それらの因子は、スラグ組成の多様性に起因するもの(CaO/AlO/SiOの割合など)と処分環境の不確定性に起因するもの(セメント材の共存など)に分けて考えられる。本報では、今までに行った溶解特性試験のうち、スラグ中のCaO/AlO/SiOの割合,スラグ中の析出相及びセメント共存に着目した結果についてまとめる。
前田 敏克; 馬場 恒孝*; 水野 大*
廃棄物学会論文誌, 15(1), p.45 - 51, 2004/01
SiO,CaO及びAlOを成分とする塩基度の異なるスラグ試料について、酸性からアルカリ性の水溶液中における静的浸出試験を行った。アルカリ溶液中(pH12.4)及び酸性溶液中(pH1.6,4.0)におけるスラグの初期溶解速度は、中性から弱アルカリ性域(pH6.8,9.0)に比べて10倍以上に増大することがわかった。また、pH9.0以上の溶液中においてスラグの塩基度は初期溶解速度に影響を及ぼさないが、酸性から中性溶液中では塩基度の高いスラグほど初期溶解速度が大きくなった。この傾向は、スラグを構成するネットワークの溶解特性によって決まると推察された。
中島 幹雄; 福井 寿樹*; 中塩 信行; 磯部 元康*; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 平林 孝圀*
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(6), p.687 - 694, 2002/06
被引用回数:16 パーセンタイル:69.83(Nuclear Science & Technology)原研における低レベル放射性廃棄物の高減容処理プログラムの一環として、処分に適した安定な固化体を製作するための溶融条件の最適化を図るために、非金属雑固体廃棄物の溶融試験を行った。模擬廃棄物をCo,Cs,Euとともに非移行型プラズマトーチで溶融し、固化体の化学組成と物理的特性,及び放射性核種分布と残存率を調べた。固化体はほぼ均質で、十分な機械的強度を有している。放射性核種は固化体内に均一に分布し、固化体に残存するCs量はスラグ塩基度に依存したが、Csのそれは依存しなかった。スラグ相中にCoを含む微小な金属粒が観察された。これは還元性の雰囲気下での金属酸化物の還元によるものであった。
福井 寿樹; 中塩 信行; 磯部 元康; 大竹 敦志*; 涌井 拓治*; 平林 孝圀*; 中島 幹雄
JAERI-Review 2000-033, 82 Pages, 2001/02
原子力施設において発生する低レベル雑固体廃棄物をプラズマ加熱により溶融処理し、安定した品質の溶融固化体を製作するためには溶融スラグの流動性を向上する必要がある。一般には、より高温で溶融処理し、溶融助剤等を添加することにより流動性を向上することが考えられるが、耐火物侵食の抑制や減容性の確保といった観点からは望ましい方法とはいえない。そこで、本稿では廃棄物中に含まれ、溶融スラグに対して流動性向上が期待される化学成分(FeO)に着目し、溶融スラグの流動性を向上させるとともに、溶融条件の緩和を図るものとした。まず、状態図及び粘性データの文献調査により、流動性向上成分であるFeOによる溶融スラグの融点降下及び粘性低下が期待できることを確認した。さらに、実際の雑固体廃棄物処理を想定し、融点降下及び粘性低下の観点から最適な溶融条件を検討した結果、(CaO+FeO)/(SiO+AlO)で定義される塩基度を0.5~0.6以上に保つことにより、安定した溶融処理が可能であることがわかった。
岩瀬 正則*
JNC TJ8400 2000-063, 78 Pages, 2000/03
本研究は、焼却灰を介した溶融金属の酸化反応を制御し、かつそれをスラグ除染に積極的に利用する手段を確立すること最終目的としており、本年は焼却灰の主成分である複数のアルカリ硫酸塩を含む混合溶融塩の物理化学的性質、中でも融体中の酸化物イオンの物理化学的挙動を、溶融塩中のCu2+/Cu+酸化還元平衡によって調査した。2元系、3元系アルカリ金属硫酸塩中のCu2+/Cu+平衡におよぼす諸因子の影響のうち、本年度は特にガス分圧(酸素分圧、SO2分圧)について重点的に調査した。硫酸塩融体中におけるCu2+/Cu+比の酸素分圧、SO2分圧依存の関数形を提示し、その妥当性を熱力学的に検証した。さらに本年度は、高温腐食現象の機構解明の端緒として、複数のアルカリ硫酸塩を含む混合溶融塩中へCr2O3溶解実験を行った。結果から、一定温度および雰囲気において平均イオン半径、換言すれば酸素イオン活量が同じ融体は、同様の酸化物溶解挙動を示すという重要な知見が得られた。
高橋 史明; 吉澤 道夫; 山口 恭弘
Radioisotopes, 47(1), p.29 - 33, 1998/01
いくつかのファントムからの後方散乱線を解析し、ファントムの寸法及び材質が光子用個人線量計の校正に与える影響を考察した。後方散乱線測定は、電離箱検出器を用いて、404015cmのPMMAファントム、303015cmのPMMAファントム及び国際標準機関(ISO)から提案されている水ファントムの表面で行った。EGS4コードを使用したモンテカルロ計算を行い、測定結果との比較を行った。また、ファントム寸法及び材質が線量計校正に及ぼす影響に関して詳細な解析を計算により行った。今回の解析の結果、ISOが提案している水ファントムを校正に用いた場合、低エネルギー光子に関して得られる校正定数が、従来のPMMAファントムより最大7%大きくなることがわかった。
明珍 宗孝; 岩瀬 正則*
PNC TY8604 96-001, 32 Pages, 1996/03
高レベル廃棄物中の不溶解残渣から白金族元素等の有用金属を回収する工程において、これまで溶融鉛を抽出剤として用いる方法について種々の検討を行ってきている。一方、我々の最近の検討においてSnが抽出剤として優れていることが明らかとなっている。しかしながらSnを用いた白金族元素抽出において必要となるSn-白金族元素系合金の各温度での相状態、熱力学諸定数、スラグとの反応性等についてはほとんど不明であるのが現状である。そこで本研究ではSn-Ru合金の熱力学的活量及びスラグの基本組成であるホウ砂系スラグ中のSnO2の活量をジルコニア固体電解質起電力法により測定し、Snを用いた抽出反応に関する基礎的データを蓄積することとした。
山手 一記*; 中村 寿; 金沢 勝雄; 藤木 和男; 櫻井 大八郎*
鋳造工学, 68(8), p.644 - 649, 1996/00
原子力施設の廃止措置により発生する低レベル放射性廃棄物を再利用するための技術開発は、廃棄物の減容、資源の有効利用の観点から重要である。特に金属廃棄物の再利用では、放射性核種の溶融時における移行挙動が再利用の安全性に関して重要なポイントとなっている。そこで原研で行った基礎的な溶融試験で得られた放射性核種移行データを統計解析手法を用いて解析した。その結果、Mn、ZnおよびSrの生成物への移行挙動については、主にスラグと溶湯間の酸化反応に支配されるため、スラグの酸素濃度によって説明できることが明らかになった。一方、Csについては酸化反応では説明できず、蒸発および珪酸ネットワークによる取り込み効果等の物理条件により排ガス系への移行が決定すると推定される。
佐久間 敦宏; 菅谷 敏克; 宮崎 仁; 飛田 祐夫; 谷本 健一; 照沼 誠一
PNC TN9420 95-011, 13 Pages, 1994/10
本調査は、大洗工学センターにて実施する固体廃棄物処理技術開発施設(LEDF)の基本設計の遂行にあたり、その初期階段において系金属廃棄物を処理する「金属減容設備」のプロセスの確定に資することを目的に実施したものである。調査対象には、概念設計での確定に至らなかったインダクトスラグ溶融方式、及びインキャンメルト方式の2方式と、同じ高周波溶融加熱原理である浮揚溶解方式を加えた3方式を設定し、各技術の現状を整理するとともに、LEDFの「金属減容設備」プロセスとしての適用性、並びに他の溶解方式との比較による優位性について評価・整理した。その結果、3方式の中でインキャンメルト方式が、現状において「前処理設備の軽減化」及び「技術実証度」の評価において、他方式と比較として最も技術的に優位にあることが確認された。また、施設運用に影響する「経済性」の評価においても同方式が他方式と比較しても最も負担が少ないことも確認された。したがって、本調査の結果に基づき、LEDFの「金属減容設備」プロセスにはインキャンメルト方式を選定するものとした。
島崎 雅夫*; 滝 富弘
PNC TN6510 94-001, 19 Pages, 1994/09
この資料は、ウラン鉱石と製錬鉱滓からのRa-226とTh-230の除去法に関する研究について、主にカナダの文献に報告されている内容を引用してまとめたものである。ウラン鉱石と製錬鉱滓からのRa-226とTh-230の除去法に関しては、各種の浸出材(鉱酸、無機塩類、有機錯化剤)を用いた浸出試験が実施されている。しかし、本研究の目標である浸出残渣を無管理で処分する処理法を開発した報告例はなく、研究開発の現状にあることがわかった。本研究の目的は、放射性物質による環境汚染の低減化に向けた新しい処理プロセスの開発にある。鉱滓処理の法律基準が年々厳しくなると予想される現状からして、環境資源開発においても環境にやさしい製錬法の開発に取り組んでいる。本資料は、今後、本研究を取り組んでいく上での参考資料として役立つものと考える。
音村 圭一郎; 浅野 智宏; 高田 雄次*
PNC TN7420 92-018, 53 Pages, 1992/06
本資料は旧東ドイツ南部地域で、WlSMUT社による過去45年間にわたるウラン鉱業活動によりもたらされた環境汚染に対して、ドイツ政府が実施している浄化修復の現況を現地調査したものである。修復には今後15年以上の歳月を要すると考えられており、現在は緊急を要する環境対策工事が一部実施されている段階で、長期的な修復計画作成のための調査、試験の段階であった。従って記述内容は、鉱山、製錬所の現況と将来計画の考え方が主体となっている。修復の全体計画、各々の修復方法、コスト、モニタリング等詳細については、今後さらに関係機関より情報を収集していかなければならない。
近藤 昌也; 中村 秀夫; 安濃田 良成; 久木田 豊
JAERI-M 92-016, 38 Pages, 1992/02
加圧水型原子炉(PWR)において、冷却材喪失事故(LOCA)時の1次系水平配管中の二相流流動様式を把握することは炉心の冷却能力を評価する点で重要である。本研究では原子炉の1次系水平配管のような大型水平配管における分離流からスラグ流への遷移条件を評価するため、流路高の高い大型水平ダクト(流路高700mm)を用いて常温常圧の水/空気の二相流について実験を行った。その結果、流動様式遷移条件を、気液の無次元速度とスラグ流の発生箇所の局所ボイド率について整理すると、三島・石井のモデルとその傾向において良く一致したが、実験では気液の相対速度がモデルによる予測値の約60%においてスラグ流への遷移がおこることが判明した。そこで、実験結果を用いて三島・石井のモデルの係数を修正した実験式を提案した。
黒澤 龍平*
PNC TJ1615 91-002, 14 Pages, 1991/03
1990年のICRPの新勧告にも書かれているように、ウラン鉱山に関係する諸施設から直接又は間接的に排出されるラドンに対する適切な対応が求められている。ウラン鉱石からウランをとり出した残りの廃さい中にはもともと存在したウランに見合うラジウムが含まれているうえ、ウラン抽出時に物理的・科学的な処理が加えられているため、細表面積が大きくラドンが発生し易い。そのため廃さいの処理が最も問題にされている。通常これらは地中に埋められているが、浅い位置に埋めた場合には、ラドンが地表に達するまでの間に充分減衰せず大気中に解放されることもある。土壌中のラドンの伝播は簡単な拡散モデルで表すことができる。それによると、土壌中のラドン濃度は地表に向かって指数関数的に減少し、地表に向っての移動距離をとするとexp(-√/D・)の形になる。ここではラドンの壊変定数、Dは見かけの拡散係数である。以前人形峠での実測データにもとずき拡散係数Dは密に踏み固めた粘質性の土壌の場合、2.410-3cm2/S、で機械的に圧延された通常の土壌の場合、6.010-3cm2/S、と推定した。は、2.09810-6S-1なので厚さ2mの場合、前者ならば2.7010-3、後者ならば2.3810-2、また3mではそれぞれ1.4110-4、3.6610-3までラドンの土壌中の濃度を減少せしめることになる。通常埋める土壌の厚さを3m以上にするとされているが、土壌の質や工事の方法によって著るしい差があることがわかる。このことより地表面から解放されるラドンの量は一様ではなく局地的にかなりの差があるばかりでなく経年的にも変化することが予想される。地表からのラドンの解放量は土壌表面のラドン濃度傾度と拡散係数の積となるのでDd/d(exp(-√/D・))=√・D・exp(-√/Dd)=dに比例することになる。ここで、dは埋めた土壌の厚さである。従って地表面からのラドン解放量は拡散係数Dによって大きく変ることが予想される。例えば前記の2mの場合はDの大少によって14倍、3mの場合は41倍の差となる。
中村 秀夫; 近藤 昌也; 安濃田 良成; 久木田 豊
Proc. of the Int. Conf. on Multiphase Flows 91-TSUKUBA,Vol. 1, p.11 - 14, 1991/00
水平気液二相流の流動様式遷移機構の配管直径依存性に着目し、原子炉1次系主配管の直径(0.7m)とほぼ同じ流路高さを持つ大型ダクトを用い、水/空気二相流実験を実施した。実験は、主に波状流とスラグ流の遷移境界に近い流量条件で実施した。その結果、(1)気相見かけ流速の増加に伴って、スラグ流発生点が下流側に移動。また、スラグ流発生の前には、一連の波(深水波)が発生し、その内の一つが液スラグに成長した。(2)この波の波高/波長比は、深水波に対し理論的に求められる最大値を超え、液スラグ発生直前まで増加し続けた。(3)波状流からスラグ流への遷移は、流路高の小さい配管での実験結果より大きな液見かけ流速で生じたが、スラグ流発生点直上流の条件(ボイド率と気液相対速度)は、三島-石井らのモデルと定性的に一致した、などが観察された。
丹沢 貞光; 藤城 俊夫; 吉江 伸二*
JAERI-M 90-159, 80 Pages, 1990/09
NSRRにおいて使用するカプセルと同一スケールの試験体を製作し、低爆速火薬により衝撃的な圧力を発生させ、燃料破損時の挙動を模擬した実験を実施した。これにより、カプセルの衝撃応答挙動を把握する上での基礎的な知見を得た。主な成果は以下のとおりである。(1)現状の設計によるカプセル試験体において、反射波、スラグ・インパクトを含む圧力波伝播挙動が明確となった。(2)水塊はカバーガスと爆源の燃焼ガスによりバウンディング効果があり、爆源に二次圧力波が発生することがわかった。(3)水塊は最大速度を有する速度履歴を持ち、速度履歴はカバーガス高さと密接な関係を持つ。カバーガス高さによってスラグインパクトによる容器首下部変形の程度が異なる。(4)カプセル試験体の外側に設置した外部容器と、円環部の流体の存在によって、カプセルの変形が軽減される傾向を把握した。
中村 秀夫; 川路 正裕; 安濃田 良成; 小泉 安郎; 田坂 完二
Proc.2nd Int.Topical Meeting on Nuclear Power Plant Thermal Hydraulics and Operations, p.1 - 102, 1986/00
ROSA-IV計画では、二流体二相応モデル開発の一環として、小型定常二相流実験装置(TPTF)を用いた大口径水平配管内での高温高圧-水蒸気二相流実験を実施している。今回は、スラグ流発生に対する、圧力および配管口径の影響について、層状流-スラグ流遷移境界を中心にして報告する。内径180mm、10m長配管と、分離型入口ミキサーを用いて行なった実験結果と、既存の水-空気大口径配管実験結果との比較より、次のことが明らかとなった。 (1)大口径水平配管において、層状流-スラグ流の遷移境界条件は、約90気圧以下の水-蒸気系と、大気圧下の水-空気系でほぼ同一の結果が得られた。 (2)TPTFの実験条件下では約90気圧以上ではスラグ流は観測されなかった。 (3)層状流-スラグ流遷移はKelvin-Helmholtzの不安定性理論に基く波の増幅過程が主要因とされているが、TPTFの30気圧での実験結果は、Walltsらの実験式、三島らの理論式とよく合うことが明らかとなった。 内径87mm、6.4m長配管を、レデューサを介して設置して行った実験では、層状流-スラグ流遷移が、内径180mmと50mm以下の配管で得られた境界の中間の領域で生じることが明らかとなった。